白内障は眼の中のレンズである水晶体が白くにごり、見えにくくなる病気です。実はご高齢の方のほとんどが白内障を患っています。
白内障は痛みを伴わないので「何となく生活できるから」「何か病気が見つかるのがこわい」等の理由で受診を我慢して先延ばしにしてしまいがちです。
でもそれは正しい選択ではないかもしれません。
適切な時期に治療を受けずに、大事な生涯で「見にくい時間」を増やしているかもしれません。
今回はそんな白内障に関する「疑ってほしい症状について」お話します。
目次
■白内障の初期症状
加齢性白内障は初期症状に気づきにくい
加齢性白内障(老人性白内障)は初期段階ではほとんど自覚症状がありません。その理由は、加齢による加齢性白内障の多くは水晶体の周り(ふち)からにごりはじめ、中心部分に向かって少しずつ白いにごりが進行することと、ゆっくり進行するため見にくさに慣れてしまっている事が考えられます。ゆっくり進行するので眼鏡が合っていないと思いこみ何個も眼鏡を作成しているケースもよく見られます。また最近は日常生活で見にくさを感じていないにもかかわらず免許更新の視力テストをパスできず、慌てて受診されるケースが増えています。
初期段階では自覚症状にとぼしい加齢性白内障ですが、病気が進行すると以下のような自覚症状が現れ始めます。
[白内障の症状]
太陽の光や夜間のライトがまぶしく感じる
視力低下する前段階で多くみられる症状のひとつです。白内障になると濁りのせいで光が乱反射するため、太陽の光や夜間のライトなど外から入ってくる光をいつもよりまぶしく感じることがあります。
物がかすんで見える、ぼやけて見える
これは、カメラのレンズで例えるとレンズがくもった状態です。物を見たときに霧やガスがかかったようにかすんで見えたり、物がぼやけて見えることがあります。老眼鏡をかけても細かい文字が見えにくい、メガネの度が急に合わなくなった、などの症状がある方は白内障の症状が進行して視力が低下している可能性があります。眼鏡が合っていないと思いこみ何個も眼鏡を作成しているケースもよく見られます。
物が二重、三重に見える
片目で見たときに物が二重、三重に見えることがあります。その理由は、白内障が進行して眼に入ってくる光が散乱してしまうためです。 ちなみに両眼で見た時のみダブる場合は斜視という違う病気が考えられます。
以前より見えるピントが変わった、左右でピントが違う
白内障によっては水晶体が白くにごるほか、水晶体そのものも分厚くなる場合があります。水晶体が厚くなると光の屈折が強くなって網膜よりも手前でピントが合いやすくなりピントが手元になる、いわゆる近視の症状が現れることがあります。
近視になると遠くの物が見えにくくなり、逆に手元や目の前の物など近くの物が見えやすくなります。その結果それまで老眼鏡をかけないと手元が見えなかった方が老眼鏡無しでも手元が見えやすくなったり、眼鏡の度数が頻繁に変わる、左右でピントが大きく違うなどが生じます。
眼が疲れやすくなる
人は、物を見るときに眼の筋肉を動かして水晶体の厚みを変化させ、ピントを合わせます。
白内障によって水晶体が硬くなると厚みを変化させにくくなり、ピントを合わせることがむずかしくなります。それでも眼はなんとかしてピントを合わせようとして、眼の筋肉を動かし続けてしまうのです。この現象によって白内障の方は常に眼の筋肉が働いている状態となり、眼が疲れやすくなることがあります。
【少しでも見にくさを感じる方は一度はご相談ください】
眼科で行う白内障の治療は以下の2つがあります。
・点眼治療
・白内障手術
白内障の症状が進んでいない場合は点眼治療で病気の進行を遅らせることが可能です。ただし、点眼治療はあくまでも病気の進行を遅らせる治療のため、見え方を改善させるには手術しか方法はありません。
どちらの治療方法を選ぶかは患者様の現在の見え方やご希望、生活内容、白内障の進行度合いによって異なります。軽度な場合は点眼加療で様子観察しますが、それほど不便を感じていないつもりでも適切な時期に勇気をもって白内障手術を受けることで想像以上に生活の質(Quality of Life)が向上する事もあります。
また、先ほどもお話したように最近は免許の更新が出来ずに慌てて受診される患者様が増えています。そのような場合でも当院では免許更新の期限に間に合うように手術日程を出来るだけ患者様のニーズに合わせて手術プランを組みますが、やはり術後の視力回復は個人差がありますので上記の症状に心当たりがあれば免許更新前に余裕をもって(少なくとも3か月前までに)受診されることをお勧めいたします。
残念ながら眼科に受診されなかった為に手術時期を逸して施設に入所され、そのまま見えにくい状態で一生涯を終える方もみえます。白内障は手術で治せる病気なのです。
生活にそれ程不自由に感じておられなかった患者様が手術して「こんなに今まで見えていなかったとは思わなかった」「怖くて我慢していたけど、もっと早く手術すれば良かった」という声もよく聞きます。「光をまぶしく感じるようになった」「物がかすんで見える」など、見え方の異常や物が見えにくくなっている方は白内障を発症している可能性があります。少しでも眼に異常を感じたときは、まずは当院までご相談ください。それぞれの患者様に最も良いと思われる治療法をご提案いたします。
宮田眼科
院長
宮田 健太郎
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