白内障の進行は止められる?



「白内障はどうしてなるんでしょうか?」
「白内障の進行を止められないんでしょうか?」

日頃、患者様からこのようなご質問をいただくことがあります。白内障は主に年齢を重ねた方に発症する病気です。70歳ではほぼ100%(すべて)の方に白内障の症状が見られます。

年を重ねれば誰もがなる病気、それが白内障です。

とは言うものの、なんとかして進行を食い止めたいと願うのが人情かと思います。

ましてや眼の手術なんて出来れば避けたと皆さまが思っています。

今回は「白内障の原因」および「自分でできる白内障予防」についてご説明します。



■白内障の原因

加齢性白内障

白内障を発症する主な原因は加齢です。加齢にともなって眼の中にある水晶体が白くにごり、白内障を発症します。

クリニックを受診される白内障患者様のほとんどはこの加齢性白内障になります。 わたしは患者様に説明するときに、加齢でみられる白髪みたいなものですよ、と例えて説明しています。



若年性白内障

白内障は主に60代以上の方に多く見られる病気ですが、20代、30代の比較的若い方でも白内障が発症することが稀にあり、これを「若年性白内障」と呼びます。
以下が原因で若い方に発症する事もありますが、特に原因がなく発症し、年齢が40代以下でも手術が必要になることもあります。その場合、わたくしは患者様には健康な方に稀に見られる若白髪みたいなもの、と説明しています。
ちなみに赤ちゃんも生まれつき白内障(先天性白内障)を患っている事もあり、ひどい場合は小児期に白内障手術が必要になる場合も非常に稀ですがあるんです。

[若年性白内障をひきおこす原因]

・紫外線や放射線
・糖尿病
・外傷
・アトピー性皮膚炎
・薬剤(ステロイドなど)


上記が白内障を引き起こす、もしくは進行を早めると考えられていますが、クリニックに受診される白内障患者様で明らかに上記が原因と考えられる割合はそれ程多くはありません。



■白内障の治療方法

≪白内障は手術で治す病気です≫

・お薬の点眼(白内障の進行を抑制します)

白内障の初期段階であったり、諸事情で手術を受けられない場合は点眼薬を使用してだきます。特に50代半ばまではご自身の水晶体のピント調整機能が残っていますので(この機能が衰えた症状が老眼です)視力低下が軽度であれば出来るだけ点眼薬で様子を見るようにしています。なお、病気の進行を少しだけ遅らせる効果はありますが、見易くなったり進行が完全に止まるわけではありません。もちろん発症した白内障を消失させる効果もありません。

・白内障手術

ある程度白内障が進行して視力低下をきたし場合、それを治す方法は手術しかありません。
眼の手術は誰しも怖いと感じるもので、出来れば手術を避けたいと考える患者様がほとんどですが、わたしは「白内障は手術で治す病気です」と簡潔に説明しています。数十年前と違って手術時間も短時間で安全性もかなり高くなっているのです(もちろん手術ですので100%安全という訳でもありませんが・・・)術後の活動制限も殆どありません(当院では翌日から軽い運動、洗髪入浴されています)
手術は白く濁ってしまった水晶体を人工の眼内レンズに取り換える手術を行います。手術時間は問題がなければ10分程度です。皆様が想像されるより手術中に痛みを感じることはありません。
白内障手術ではカウンセリングの後、下記からレンズを選択します。

・単焦点レンズ(近くから遠く、どこか1つの範囲にピントが合います)
・多焦点レンズ(近くから遠く、すべてにおおよそピントが合います)

どちらのレンズが優れているという訳では無く、患者様の眼の状態やニーズに合わせて適切なレンズを選択してあげることが最も大事と考えます。
何となくの安心感で大きな病院や有名な施設で手術を受けても(最近の眼科はクリニックの方が病院より良い手術機器を使用している事もあります)、このカウンセリングを軽んじると術後の見え方の質が下がってしまいます。



【「見えにくい」と感じたら早めの眼科受診をおすすめします】

◎一度は眼科受診をしましょう

白内障は進行性の病気で、年を取るとともに必ず進行します。「手術をしないで何とかできるのでは」とサプリメントに頼る、民間療法で白内障を治そうとするのも良くありません(白内障は自力では治せません)。ましてや眼科医ではない知人のアドバイスが正しいとは限りません(眼科医以外の医師でもです)

ご自身が不自由で無ければ手術は急ぐ必要はありませんが、放置し過ぎると水晶体が硬くなり手術が難しくなり、ひいては合併症のリスクが上がることがありますので適切な時期に手術をすることが大事です。
また、患者様の眼球の形によっては白内障の進行で緑内障などのほかの眼の病気を発症してしまう場合もあります。
私たちは患者様のニーズやご希望、眼の状況に応じて点眼治療か手術どちらが適切かアドバイスをさせて頂きます。患者様のご希望が無ければ無理に手術を勧めることはありませんので白内障かな?と思われたら怖がらずに一度当院を受診してください。


宮田眼科
院長
宮田 健太郎
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